一般演題(ポスター)とZoom講演のの参加方法をまとめたマニュアルおよび抄録集を公開しました。Zoom IDは会員の皆様宛にお送りしたものをご確認の上ご参加をよろしくお願いいたします。午前・午後とも同じIDを使用いたします。(2020/10/21)。
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プログラム 2020年10月25日(日)
- 10:00〜10:10 開会式
- 10:10〜12:10 シンポジウム リモート時代における吃音・流暢性障害のある人の課題と支援
- 話題提供 原由紀、横井秀明、岡部健一、羽佐田竜二、斉藤圭祐
- 指定討論 小林宏明
- 座長 前新直志
- 話題提供 原由紀、横井秀明、岡部健一、羽佐田竜二、斉藤圭祐
- 13:10〜14:10 マイメッセージ ~それぞれの立場から吃音・流暢性障害を語ろう~
- 発表者 灰谷知純、黒澤大樹、髙橋三郎、堀内美加、野母浩之
- 座長 斉藤圭祐
- 発表者 灰谷知純、黒澤大樹、髙橋三郎、堀内美加、野母浩之
- 14:30〜15:30 臨床セミナー 成人の発達障害と吃音
- 発表者 金樹英
- 座長 宮本昌子
- 発表者 金樹英
- 15:30〜15:45 閉会式
企画①
【テーマ】シンポジウム「リモート時代における吃音・流暢性障害のある人の課題と支援」
【日時】2020年10月25日(日)10:10~12:10(120分)
【概要】リモートでの授業や就職面接、就業などを行うことに、吃音のある人はどのような困難を感じているか?リモートによる吃音治療のニーズにはどのようなものがあるか?リモートによるセルフヘルプグループ活動の先駆的取り組み等の紹介。
【座長】前新直志 国際医療福祉大学
<話題提供>
原由紀(遠隔セラピーの研究) 北里大学
横井秀明(訪問による在宅訓練) なるみ吃音相談室
岡部健一(吃音外来でのSNS活用) 旭川荘南愛媛病院
羽佐田竜二(リモートによる遠隔訓練) つばさ吃音相談室
斉藤圭祐(セルフヘルプグループでのリモートによる活動の実態) 全国言友会連絡協議会
<指定討論>
小林宏明 金沢大学
企画②
【テーマ】マイメッセージ ~それぞれの立場から吃音・流暢性障害を語ろう~
【日時】2020年10月25日(日)13:10~14:10(60分)
【概要】マイメッセージ(吃音体験談や自らが伝えたいこと)の発表を、当事者だけでなく、研究者、臨床家、教育関係者、保護者などからも語っていただくことで、お互いの気持ちや志を共感する機会とする。これまで、第6回(国際大会)、第7回大会で、マイメッセージの発表を実施してきたが、当事者の発表が中心であり、臨床家や研究者の発表はなかった。そこで、今回は、それらの方にも発表いただき、それぞれの立場の方が、どのような形で吃音や流暢性障害のある方に向かい合っている(向かい合おうとしている)かを発表いただくことで、様々な立場を超えて、会員同士が相互理解を図ることを目的とする。
【座長】斉藤圭祐 全国言友会連絡協議会
<発表者>
灰谷知純(研究者) 国立障害者リハビリテーションセンター研究所
黒澤大樹(臨床家) 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 言語療法科
髙橋三郎(教育関係者) 福生市立福生第七小学校
堀内美加(保護者) 長野県きつつきの会
野母浩之(当事者) 全国言友会連絡協議会
企画③
臨床セミナー 成人の発達障害と吃音
第4回大会(2016 国立障害者リハビリテーションセンター)で行われたセミナーのビデオ録画を再上映し、質疑応答をリアルタイムで行います。
【日時】2020年10月25日(日)14:30~15:30(60分)
【司会】宮本昌子 筑波大学
<講演>
金樹英 国立障害者リハビリテーションセンター病院
【概要】
発達性吃音のある人には脳神経レベルでの機能異常があることがわかってきている。WHOの疾病分類ICD-10や米国の精神科学会によるDSM―5では吃音は発達障害に分類されている。自閉症スペクトラムなどの発達障害も吃音と同様に、生まれつき機能異常が存在すると考えられている。自閉症スペクトラム、チック症やTourette 症候群、ADHDなどの発達障害やダウン症などの先天性染色体異常症では、一般人口におけるよりも高率に吃音が併存することがわかっている。また、吃音のある人には一般人口におけるよりは高率に ADHD、 Tourette症候群などの発達障害が併存するという報告もある。発達性吃音と自閉症スペクトラム障害などの発達障害との間には、なんらかの共通する成人の吃音患者に対応する際には、吃音と併存することの比較的多い自閉症スペクトラム障害などの発達障害や、二次的に併存することのある社交不安障害などの精神障害について、念頭に入れておくことが重要である。言語訓練を重ねても改善がみられなかったり、指導がうまくいかなったりした場合に、他の疾患が併存していることがその要因であることがある。
吃音と他の疾患が併存している場合に、吃音がどの程度その人の問題に関与しているかという点に注目すると、大きくは以下の3つの場合に分類できるように思う。①吃音による精神的な問題や物理的にコミュニケーション障害が生じていることによる問題がメインの場合(吃音のみの場合と同じ)、②併存疾患による困難さがあり、吃音によってさらに追い打ちがかかっている場合、 ③吃音は問題とならないぐらい併存疾患による困難さが大きい場合、の3つである。どのタイプであるかによって、吃音訓練の効果がどのくらい期待できるかが異なってくる。例えば、③の場合には吃音訓練は適応とならず、併存疾患への対応がまず必要となってくる。②の場合には、併存疾患への対応を行いつつ、吃音への対応も行うことが必要である。①の場合には、吃音への対応が最優先となる。
本セミナーでは、吃音と併存することのある疾患として、発達障害(主に自閉症スペクトラム障害)に注目して、成人の吃音患者における発達障害併存例の臨床像と対応について検討する。また、現場で吃音のある成人に対応する方々が、併存する自閉症スペクトラム障害などに気づくヒントを提供できればと思う。